프로젝트2026年1月4日
世代をつなぐオフィスデザイン、大学内日ES社屋 ①
著者 · SPACEBASE

若い組織文化を持つ企業の社屋は、どのように完成したのだろうか。カフェテリアは必須、より快適で社員に親しみやすい「いまどき」のオフィスの姿を見ていこう。サイト分析から空間構成、デザイン提案まで、企業にぴったり合うオフィスを完成させていったSPACEBASEの「大学内日ES江西社屋」プロジェクトを、全2回にわたって紹介する。第1回はデザインと企画のプロセス全般を、第2回は着工以降の工事プロセスを扱う。


大学内日ES(Daehaknaeil ES)の新社屋プロジェクトは、全11階の単独社屋を造成する作業として出発した。大学内日、NHRなど6つの法人で構成される大学内日ESは、子会社のための共有オフィスを含む大規模な新社屋を造成しようとしていた。
SPACEBASEは「温かい隣人」というコンセプトで、人と人の間、世代と世代の間の連結を導いてきた大学内日のオフィスを造成した。 若い組織構成員たちの意見を積極的に反映するオフィスプロジェクトであった。設計だけで2か月、施工だけで6か月を要した大学内日ESの社屋造成プロセスについて、SPACEBASEのキム・ヨンウンデザイナーと話を交わしてみた。今回の第1回では、企画とデザイン設計のプロセスを集中的に見ていく。
地域と企業文化をつなぐデザインコンセプトを見つける

Q. 大学内日ES新社屋は「温かい隣人」というコンセプトが目を引く。どのようなプロセスで導き出されたコンセプトなのか紹介してほしい。
まずは、企業の哲学と文化を空間にうまく込めたいという思いから出発した。大学内日ESは、構成員が自発的に働けるよう手助けする良い組織文化を持っており、オフィス空間からそうした文化を感じられることを願っていた。
世代を読み取り、世代間の連結を生み出すことは、大学内日ESの企業ミッションであった。大学と企業をつなぐ多様なビジネス活動も行っている。このように人と人の間の連結とコミュニケーションを導いてきた、企業の哲学が、まるで親しみやすい「隣人」の役割のようだと考えた。 したがって「温かい隣人」というオフィスデザインコンセプトを提案するに至った。ちょうど、新社屋が位置する禾谷が、コンセプトと自然につながる地域でもあったのだ。

Q. 新社屋が位置する「禾谷」の地域について、どのように解釈されたのか気になる。
禾谷は、既存のオフィスがあった孔徳に比べて、交通が便利だったり若い商圏が発達した地域ではない。企業の側でも、禾谷へ移転する構成員が満足できるかを懸念していたという。しかし、サイト分析を進めるうちに、禾谷という地域に独特の魅力を発見することができた。
それはまさに、いまなお「隣人」が残っている街だという点であった。開発が遅れているおかげで地域商圏が残っており、長きにわたって同じ場所を守ってきた店舗もある。数十年にわたり変化してきた住宅の姿が混在する住居地域もあった。
このように温かい隣人が残っている地域が、企業の性格とも通じ合っていると把握した。ビジネスを見てみると、大学内日は大学生のためのメディアをつくり、NHRはその大学生が就職を準備し社会の構成員になっていく過程を手助けする役割を果たしているのだ。禾谷という新しい地域で、大学内日新社屋は「温かい隣人」となって人、企業、世代をつなぐという点を、企画設計の段階で積極的に提案した。 このように、オフィスが位置する地域についてデザインで説明することも、オフィスの内装を担当する会社が成し遂げるべき役割だと考えた。

Q. 導き出したコンセプトは、空間にはどのように具現されたのか。
空間の随所で温かさを感じられるよう、形態と仕上げ材を細やかに気を配った。
たとえば1階ロビーの床は、タイルパターンが交差に編まれることで、タイルでありながらファブリックのような温かい感覚を感じられるよう設計した。壁体は対称構造でデザインし、安定感が感じられる。自然な曲線形態で間接照明を構成し、より柔らかく温かい空間を完成させた。

身体に近く触れる場所は曲線を用い、心地よさを感じられるようにつくった。ラウンジのソファやテーブル天板のラインを丸く処理し、視覚的にも触覚的にも心地よく感じられる。ビッグテーブルの下部の脚にも曲線のポイントが入るよう製作した。天井の照明ライン、球形ペンダント照明、円形テーブルはいずれも、親しみやすく温かい曲線の形態感を強調する。

木毛ボードと有孔石膏ボードという仕上げ材は、温かさと奥行き感を空間に与える。オフィス内の吸音率を高める効果もあり、視覚的にも温かさが感じられる仕上げ材である。木毛ボードのラフな、物性が与える温かさ、ウォームグレーとウォームホワイト塗装の、色彩が与える温かさ を積極的に活用した。

面分割は、空間に温かさと奥行き感を与える主要なデザイン戦略であった。大きな面を小さく分割していく過程は、デザイナーにとっては手間のかかる作業ではあるが、空間に自然と奥行きと多彩さを与えることができる。そのためSPACEBASEは、面と色を絶えず小さく分けていき、モダンさの中にも温かい変奏を感じられるよう空間を設計した。

Q. 社屋は企業のアイデンティティを表す装置でもある。大学内日ESのアイデンティティを社屋全般にどのように溶け込ませたのか気になる。
企業のカラーである「紫色」を、造園計画を通じて表そうとした。大学内日ESの社屋は、テラスや中庭のように外部空間の比率が高い建物である。造園が入る空間ごとに、複数の季節にわたって咲く紫色の花を植え、自然と企業の代表カラーを表した。ファサードに配置されたロゴサインのカラーともよく調和する。

造園計画の収集プロセス
社員が出勤したくなるオフィスを計画する

Q. 全11階に及ぶオフィスである。フロアごとに特徴的な空間構成を紹介してほしい。
地下2階は、社員福祉のための利便施設としてジムとシャワー室を配置した。1階はウェルカムロビーとともに、クライアントの意見に従い、物を移動しやすい倉庫を設けた。2階はミーティングルームのみで構成したが、可動間仕切りを活用し、会議に参加する人数に応じて会議室の規模を柔軟に調整できる。3階は子会社の全社員が使用可能な共有オフィスである。4階から6階まではメインの業務空間を配置し、7階はブックカフェとスナックバーのあるカフェテリアとして活用する。8階は屋上テラスのある空間で、食事が可能なカフェテリアである。

1階1次提案

1階最終案

実際に具現された1階ロビーの姿
Q. 初期提案と最終案で変わったフロアがあると聞いた。クライアントの実際のニーズを反映しながら、どのように空間を発展させていったのか。
初期提案では1階をカフェとして提案した。イベントを進める業務が多いという企業の特性に従い、物を簡単に出し入れする「倉庫」へと主用途を変えることになった。オフィスの雰囲気を醸成する「カフェ」を提案しようとしていたデザイナーとしては、衝撃的な変化であった。(笑)ロビーは簡素化されたものの、それでも、普通の企業のエレベーターホールのような冷たい感じが出ないことを願っていた。空間の随所に形態的に小さな変奏を与え、人工植栽を活用し、企業を代表するロビーの感じをより強調した。
カートが移動しやすいよう、床の仕上げ材を大型スーパーで使うビニール素材で使ってほしいという要望もあった。社屋の1階は企業の顔にならなければならないという考えから、タイルでこだわり強く提案した。その代わり、物を引いて回りやすいよう、小さなタイルから大きなタイルへ変更してパターンを作り直し、実用性と審美性の両方を確保しようとした。

Q. 大学内日ESは若い組織文化で知られている。こうした組織の特性を空間デザインにどのように反映したのか。
若い文化を持つ企業は、何よりもまず構成員を満足させられるオフィスを造成することに多くの関心を傾ける。快適でカフェのような空間を構成して、社員を引き込もうとするのだ。
オフィスプロジェクトを担当するTFチームとともに、積極的に意見を交わし合った。まずは、互いに温かく対話を交わす雰囲気を構成しようとした。ラウンジとテラスの空間を通じて 互いに自然と顔を合わせ、話すことができる空間 をデザインした。
また、福祉空間を十分に確保し、オフィスに出勤することが楽しく感じられるようにつくった。ジム、シャワー室、仮眠室、そしてマッサージ室まで配置し、社員が快適な業務空間を享受できる。

Q. 大学内日ESのオフィスには、社員福祉空間の比率がとりわけ高いほうである。その中でも、内装を準備する企業にぜひおすすめしたい空間があるとすれば何か。
「マッサージ室」をおすすめする。SPACEBASEは常に、竣工1年後にオフィスを再訪し、構成員が空間をどのように使っていたのかを確認するのだが、 ほぼすべての企業で、構成員に最も人気の高い空間を挙げてみると、「マッサージ室」が出てくるのだ。(笑)オフィスへの満足度を高めるうえで、最も重要な役割を果たす福祉空間であるように思う。

Q. 設計に2か月、施工に6か月かかったと聞いた。プロジェクト期間中、クライアントとの協業プロセスはどうであったのか。円滑なコミュニケーションのために活用した方法があれば紹介してほしい。
「SPACEBASE」は、クライアントと素早くコミュニケーションをとることが何よりも重要 だと考えており、メールや対面ミーティングのほかにもプロジェクトのチャットルームを多く使う。
大型オフィスプロジェクトは、各領域に応じて担当者が細分化される。ブランディング、業務空間効率、通信、入退室管理、駐車リフトなど、それぞれ異なる分野の担当者と個別にコミュニケーションをとらなければならない。大学内日ESプロジェクトでもTFチーム内部に分野別に担当者が配置されており、担当者ごとに個別ミーティングを進めながらプロジェクトを進行した。1週間で3つのチームと、それぞれ異なる内容のミーティングを進めることもあった。このようにオフィスプロジェクトの場合、数多くの担当者と円滑に内容を共有することが非常に重要である。
若い組織文化を持つオフィスは、単に弾むような形態や色彩で表れるものではない。それよりも、オフィスを造成するプロセス全般にわたって、構成員を思う心を空間に込める。 オフィスは新しい社員を呼び込み、既存社員の満足度を高めるうえで重要な役割を果たす。SPACEBASEは、企業の構成員の満足度を高められるよう幾度ものミーティングを進め、企業にぴったり合うオフィスデザインを提案する。
今回の第1回では、大学内日ES社屋の設計とデザインのプロセスを見てきた。次の第2回では、着工以降のプロセスを収め、現場により密着した話をお届けする予定である。設計から着工まで、SPACEBASEのオフィスデザインに込められたビハインドストーリーをご期待いただきたい。
*写真・デザイン提供_SPACEBASE
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